寒い日に飲みたくなる飲み物のひとつ、チャイ。スパイスと紅茶の香り、まろやかで甘い口当たり、飲んでいるうちにからだもポカポカしてきてホッとしますよね。編集部の私も冬は自然とコーヒーよりチャイを選ぶことが多くなります。特にインド料理屋さんでいただくチャイは本格的な味がしてたまりません!でも、あの味が自宅で飲めたらなあ、、と挑戦しているのですが、どうもうまくいかないんです。
そこで今回は特別に、チャイコーディネーターでありchai letterを営む町田めぐみさんに、基本のチャイの淹れ方について伝授していただきました!
町田めぐみさんについて
Chai letter主宰。ある時は街のチャイ屋さんとして。ある時は教室を通じて。季節や気分、体調に合わせたチャイ作りや、スパイス・ハーブの面白さを紹介されている、さすらいのチャイコーディネーター。そのおいしさと世界観に魅了されるファン多数。著書である『Chai Book』はチャイのレシピや小話が詰まっていてチャイ好きの方は必読です!
Table of Contents
めぐみさんに聞く。そもそもチャイとは?
チャイとは、元々「お茶」そのものを指す言葉です。中国からペルシャを通じてインドに伝わった時に「cha(チャ)」が「chai/chay(チャイ)」と訛り、そのまま名前が定着したと考えられています。そのため、スパイスが入っていないミルクティーもチャイ、ストレートの紅茶もチャイと呼ぶことがあります。また、スパイスが入っているチャイは「マサラチャイ」といいます。マサラとは、スパイスを混ぜたもののことです。
チャイはお茶を使っている以外には決まったレシピもルールもありません。例えばインドのご当地チャイには、ミントとレモングラスが入った西インドのリーリチャイ、煮詰めた甘い牛乳と濃い紅茶を合わせたインド中南部の街・ハイデラバードのイラニチャイ、緑茶を使ったピンク色で塩味のインド北部のカシミールチャイなどがあります。また、街中のチャイ屋さんやレストラン、家庭にもそれぞれのチャイのレシピがあります。
それぞれの土地で採れるハーブやスパイスを使い、さまざまな場所で独自のチャイレシピが育まれてきました。おいしさの中に人や場所の風景を感じるところもチャイの面白いところです。
基本のチャイの作り方
今回は、スタンダードなチャイの作り方をご紹介します。チャイに使う主な材料は、水、牛乳、紅茶、スパイス、砂糖の5つです。鍋と茶こしを使って10分もかからずに作れますので、材料さえ揃えておけば手軽においしいチャイが味わえるようになります。作っている間も、香りを嗅いだり、鍋の中が変わっていく様子も楽しんでみましょう。
<材料(2~3人分)>
- 水 ・・・ 250cc
- 牛乳 ・・・ 250cc
- 紅茶(アッサムCTC) ・・・ 大さじ2(約9g)
- カルダモン ・・・ 3,4個
- クローブ ・・・ 2,3個
- シナモンスティック ・・・ 3~4cm
- しょうが(すりおろし)・・・ 小さじ2
- 砂糖 ・・・ 大さじ1〜2(お好みで)
スパイス | 使用部位 | 効能 |
カルダモン | 種子 | 消化力増進、咳、吐き気によい |
クローブ | 蕾 | 消化力増進、喉の乾き、口臭、乗り物酔いによい |
シナモン | 樹皮 | 痒み、未消化物の消化、鼻炎、咳、喉の乾きによい |
しょうが | 根茎 | 消化力増進、代謝をよくする |
<作り方>
- スパイスをすり鉢で砕いたり、手で割ってスパイスの香りが出やすいようにします。
- 鍋に水とスパイスを入れて火にかけ、沸騰したら2分間弱火で煮出します。スパイスの香りがだんだん濃くなっていきふわっと良い香りの蒸気が部屋に満ちていきます。水の色やスパイスの膨らみなど鍋の中の様子も変わっていきます。
- 紅茶を加え、中火で2分煮出します。紅茶の茶葉が大きくなっていくほど、水の色も濃くなり、紅茶の味も出てきます。
- 牛乳、砂糖を加え、さらに3分中火で煮出します。紅茶と牛乳がマーブルに混ざり合い、だんだんとチャイ色になっていく様子もきれいです。
- 強火にし、鍋のフチぎりぎりまで盛り上がるように沸かし、あふれる手前で火を止める。これを3回繰り返します。スリリングな体験を楽しみましょう。吹きこぼれてしまったら、キッチンをきれいにできてよかったなと前向きに捉えましょう。
- 茶こしでこしてカップに注げばできあがりです。
チャイをおいしく作るコツ
「スパイスの香りを引き出す」→「茶葉の味を引き出す」→「全体を調和させる」といった順番で素材の香りや味を引き出すとおいしいチャイが作れます。その中でもチャイをおいしく作るポイントは、3つあります。
コツ1:スパイスは香り。紅茶の味をしっかり出して全体の輪郭をつくる。
スパイスのイメージが強いチャイですが、実はスパイス自体に味はほとんどありません。スパイスの役割は香りです。香りもおいしさのひとつですが、いくら良い香りがしても味がぼやっとしていると全体がぼやけた印象になってしまいます。だしの効いてない味噌汁のように、飲めるけれどなんだかいまいち・・・。そこで材料の中でも最初にこだわりたいのは紅茶です。しっかりと味が出て煮込んでも渋みが出ないものを選ぶようにしましょう。紅茶の味が濃いめに出せるとチャイの味の輪郭をはっきり作ってくれます。
おすすめしたいのはアッサムCTC。アッサムはインドの紅茶で、コクのあるしっかりした味わいが特徴です。CTCはCrush、Tear、Curlの略で、茶葉の成分が早く抽出できるように砕いて丸めた製法のこと。インドの食材を扱っているお店や紅茶専門店に置いています。わざわざ揃えるのが面倒な場合は、近くのスーパーなどで「ミルクティー向け」と書いてある茶葉を選ぶと良いです。
コツ2:砂糖は遠慮せず入れましょう
カロリーやからだへの負担が気になると、砂糖をたくさん入れることに戸惑うかもしれません。わたしがチャイを作る様子を見て「そんなにお砂糖入るんですね・・・」と驚く方もたまにいます。ただ、毎日がぶがぶ飲むのでなければ、砂糖を思うだけ入れておいしい一杯を味わう方がより幸せに感じると思います。実際、甘さがしっかりあった方がスパイスの香りがより引き立ち、おいしく感じやすくなります。お砂糖は、きび砂糖、てんさい糖、黒糖、ココナッツシュガーなど精製度の低いミネラル分が豊富なものを選ぶと、からだにも優しいしこころも少し救われる気がします。
アーユルヴェーダの食事のもっとも大事な目的は「満足すること」とされています。健康的な食事を追い求めすぎておいしくないものを食べるよりは、自分が満足する食事を自分の消化力にあった量をとるのが大切とされています。とはいえ、飲み始めたらおいしくてお砂糖たっぷりのチャイをついおかわりしてしまう日もあります。そういう日は他の甘いものをちょっとセーブしたり、一日や一週間の中でバランスを取っていくように心がけています。
コツ3:最後は強火にして鍋のフチぎりぎりまでチャイを盛り上げ、チャイのまろやかさと一体感を上げましょう
作り方の最後の手順は「何のためにやるんですか?」とよく聞かれます。わたしのチャイの先生がそう教えてくれたからそうしています。先生は、先生のインドのおばあちゃんがそうしていたから、と言っていました。鍋の中を対流させてスパイスと茶葉をよく抽出させること、空気を含ませてまろやかにすることが考えられるのですが、この手順をやるのとやらないのとでは味の一体感が変わります。吹きこぼさないように毎回ちょっぴり緊張が走る瞬間ですが、チャイをおいしくするおまじないだと思ってやってみてください。
チャイを作ってみましょう
チャイを作れるようになると楽しい時間やおいしい時間が増えます。誰かに淹れてあげるととても喜ばれます。人に喜ばれるとまた自分も嬉しくなります。誰かとも楽しめるし、ひとりでも楽しめるのがチャイの良いところ。ぜひ作ってみてくださいね。(町田めぐみ)
編集部も作ってみました
めぐみさんのチャイレシピとコツ、いかがでしたか?早速、わたしも指南どおりにチャイを作ってみました!今までの作り方よりも使ったスパイスは少ないはずなのに、しっかりスパイスの香りが効いている。ずっと、「どうやったらあのなめらかさになるんだろう?」と不思議に思っていたお店のチャイのコクを出すこともできました!これまでの自分のチャイはなんだったんだろうと思うほどにおいしい・・。最後の仕上げもなかなかスリリングで楽しいですね!
そしてレシピを見ながら作ってみて感じたこと。これはまさに五感を使うマインドフルネスではないかと思いました。作りながら、味わいながら、心も整う気がします。みなさんもぜひ、めぐみさんのチャイレシピ試してみてください♪ めぐみさんのチャイ教室に興味ある方はぜひインスタもチェック!
町田めぐみ/チャイコーディネーター
季節や気分、体調に合わせてチャイを作り、教室を通じてスパイスやハーブ、チャイの面白さをお届けしている。
instagram @chailetter.douzo
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