アビヤンガとは

アーユルヴェーダには様々な種類のトリートメントが存在します。

その中でも代表的な「アビヤンガ」はオイルを使用した全身のトリートメントで、その特徴は、「繰り返しさすって十分な量のオイルを塗り込む」という点にあります。オイルを全身に擦り込み、浸透したオイルが全身を巡ることによって、体内の老廃物の排出・滋養強壮を促進。

またタッチセラピーの効果によって、精神面にもリラックス作用をもたらすと考えられています。

使用されるオイルは、アーユルヴェーダ独自の製法で作られる薬草オイル、または太白ごま油、ココナッツオイルなどが一般的で、クライアントの症状や体質に合った効能を持つオイルが選ばれます。

また、アビヤンガのあとは、オイルを全身に巡らせるために、身体を温め発汗を促すことが重要とされています。発汗法は「スヴェーダナ」と呼ばれ、蒸気のサウナ、入浴、乾式サウナなど色々な方法で行われます。

アビヤンガは、禁忌事項を守れば、どの体質の方でも受けるメリットがあり、広く勧められるトリートメントです。

アビヤンガで期待できる効果

アビヤンガについて、アーユルヴェーダの代表的な古典書である「チャラカ・サンヒター」には以下のように記載されています。

 皮膚に最も効果的なものはアビヤンガなので、毎日、行いなさい。定期的にアビヤンガを行っている者の体は、たとえ、不慮の怪我や激しい労働に直面しても、さほど影響されない。毎日アビヤンガを行うことによって、気持ちの良い肌触り、引き締まった身体となり、体力が増し、魅力的な容姿になり、加齢による衰えはほとんどみられない。

チャラカサンヒター総論第5章より

アビヤンガをセルフケアとしても習慣化することで、血流をはじめとする体内の流れがよくなり、全身に栄養や酸素が行きわたることで、丈夫で疲れにくく、しなやかな身体を作り、見た目にも若々しさをもたらすと言われています。

アビヤンガの主な適応

全身のコリ・痛み、便秘、冷え性、生理痛、生理不順、不眠..など

アビヤンガの禁忌事項

以下に該当する方はアビヤンガを受けてはいけないとされています。

生理中(1日~3日目の方)、風邪、発熱時、満腹時、消化不良の時、妊娠中、高血圧、水虫、感染症の疑いのある方、心肺機能障害、心臓病、てんかん、重度の糖尿病、骨粗しょう症、重病の方、大きなけがをされている方、手術直後の方

アーユルヴェーダの治療現場におけるアビヤンガ

インドやスリランカなどのアーユルヴェーダ病院における治療現場では、アビヤンガは、メインとなる治療行為である浄化療法の前処置として行われます。

一般に浄化療法はパンチャカルマとも呼ばれ、浣腸療法や、下剤療法などによって、体内の不要な物(未消化物や過剰なドーシャ)を体外へと排出させるのですが、その前処置として、体内の隅々から不要物を体の中心部に集めるために、アビヤンガを行うのです。

セルフケアでアビヤンガを行う方法

前述の通り、アビヤンガは(禁忌事項に該当する場合を除いて)どなたにも行っていただく価値があり、セルフケアとして取り入れることをおすすめします。

【セルフアビヤンガの行い方】

太白ごま油を、湯煎で人肌より少しだけ高い温度に温め、全身に塗り込みます。

時間がないときは、頭部、耳、足裏のみに塗る3点マッサージでも十分効果があります。

オイルは皮膚より吸収され、5分で脊髄に浸透すると考えられていますので、塗り込んで5分したら、身体が温まるように入浴やシャワーを浴びて、流してください。また、アビヤンガは朝行うとより効果的です。

日本でも受けられる、アビヤンガ

アビヤンガを専門サロンで受けてほしい理由

アビヤンガは、日本の専門のアーユルヴェーダサロンで、プロのセラピストによる施術を受けることも可能です。

セラピストによるオイルトリートメントは、気持ちが良いのはもちろんのこと、セルフケアでは塗り込めない量のオイルを塗り込んでもらうことが可能です。自分自身でオイルを塗布する場合、10~30mlを塗り込むことがやっとですが、専門サロンでは、その何倍もの量のオイルを塗り込んでもらうことが可能で、それによってセルフケアでは味わえない効果を感じることが可能です。

また、アーユルヴェーダの学びを深めたセラピストが、客観的な視点によって、お客様の体質に合うオイルを選んだり、セルフケアのアドバイスをしてくれますので、実際に自宅でのケアを進める上でも、効率が良いでしょう。

このサイトでは、編集部が信頼して通っていただけるアーユルヴェーダサロンを紹介しています。是非ご活用ください。

アビヤンガを提供しているアーユルヴェーダサロン一覧

サロンで受けた効果をよりアップさせるために

せっかくサロンでトリートメントを受けたら、是非、アビヤンガの効果をアップする以下の方法をお試しください。

アビヤンガの後に発汗法(スヴェーダナ)を行うこと

アビヤンガの後、サウナや入浴などによって発汗をすることによって、からだ全身にオイルを巡らすことができます。サロンによっては、発汗法が必ずセットになっている場合と、オプションとして選択可能な場合がありますので、オプションの場合は是非つけていただくことをおすすめします。

アビヤンガの前と後にクミンティーやお白湯を飲むこと

アビヤンガによって身体にオイルが行きわたると、体内の不要な老廃物は腸にかき集められます。集まった老廃物をスムーズに体外に排出するために、スパイスのクミンを使ったクミンティーを飲むことをおすすめします。クミンには、体内の余分なものを排出する働きがあるためです。

淹れ方はとても簡単で、クミンを少し乾炒りし、お湯で煮出すだけです。

もちろんお白湯を飲んでいただくだけでも構いません。

また、サロンでトリートメントを受けた場合、多量のオイルを体内に取り込むことになりますので、想像以上にクライアントの身体の消化プロセスに負担がかかります。施術を受けた当日は、食事は軽めにし、温かな飲み物だけを摂り、ゆったりと過ごすことがとても重要です。