【インタビュー連載.002<第二話>】アーユルヴェーダをスキなヒト FILE.2-2セラピスト杉原愛子さん

Ayurveda Everyday! では、”ヒトとヒトとの繋がり”、そして、アーユルヴェーダと”ヒト”との、その人らしい付き合い方を大切にしたいと考えています。
インタビュー連載、《アーユルヴェーダをスキなヒト》では、身近なあのヒトのアーユルヴェーダのある暮らしに焦点を当て、暮らしや生き方のヒントを探ります。
あなたに必要な、アーユルヴェーダのエッセンスが見つかりますように・・
そんな想いを込めてお届けします。

第一話のインタビューに引き続きご登場いただく「京都アーユルヴェーダmanju」オーナーセラピストの杉原愛子さん。

前回までで、愛子さんのこれまでのキャリアや、アーユルヴェーダとの出会い。そして、今の愛子さんのセラピストとしてのスタイルにつながるご経験までを、伺ってきました。

これからアーユルヴェーダセラピストを目指したい方や、アーユルヴェーダを職業の選択肢として考えている方達にはとても為になるお話だったのではないでしょうか。

後編では、その後も順調にアーユルヴェーダサロンを経営し、時に迷いながらも、現在では数ヶ月先まで常時予約は満席。後進を育てるまでに活躍なさるようになった愛子さんの、人気の秘密を更に紐解いていきましょう。

大阪アーユルヴェーダ研究所では、イナムラ先生とシャルマ先生というお二人の恩師に巡りあわれましたが、その後もアーユルヴェーダの学びは続いていったんですか?

「これはアーユルヴェーダが面白くてやめられない理由の一つなんですが、アーユルヴェーダの学びには終わりがありません。サロンの経営は順調でしたが、それでも常に学びたい、知りたい。そしてそれをお客様に還元していきたい。そういう思いは、どんな時も持っています。

2015年頃でしょうか。関西ということもあって、当時近くにアーユルヴェーダセラピスト仲間というのはいませんでした。今ほどSNSなども発達していませんし、だんだん仲間が欲しくなってきたんです。それで、単純ですが、東京に行けばアーユルヴェーダ仲間ができるかもしれない、という気持ちになって。

東京のサトヴィックアーユルヴェーダスクールのセラピストコースの門を叩きました。

《(左から)サトヴィックアーユルヴェーダスクールと共に日本人に向けてアーユルヴェーダを教えてくださる、Dr.スクマール・サラデシュムク、愛子さん、サトヴィックアーユルヴェーダスクール主催 佐藤真紀子先生》

大阪アーユルヴェーダ研究所での学びは、ドクターからの指導で、理論中心だったのですが、サトヴィック主宰の佐藤真紀子先生は、ご本人がアーユルヴェーダセラピストとしてハタイクリニック(東京にあるアーユルヴェーダドクターによる診察を受けられる病院)で長年勤められた経験がありました。」

愛子さんはすでにセラピストとしてのご経験が長かったと思うのですが、あえて初心者も受け入れる内容のセラピストコースに進まれたのは訳があったんですか?

「佐藤先生がハタイクリニックで日本人向けに行っているアーユルヴェーダの施術ってどんな感じなんだろう?ということに、シンプルに興味がありました。

それと、このあたりから自分の中で、アーユルヴェーダのセラピストとして、それ専門の学びが必要なんだということがはっきりと、明確になってきました。」

アーユルヴェーダセラピストとして専門の学び?

「インドでは、アーユルヴェーダのドクターと、セラピストというのは明確に違いがあります。

基本的にはドクターが治療方針を決め、どういう薬を使うか、またどういうトリートメントを行うか。そのトリートメントは、どういったオイル、ハーブ、そしてブレンドをするか、ということを決めます。そして、セラピストはそのトリートメントにおいて非常に重要な役割を担います。

ですから、トリートメントに使われる薬剤なんかはセラピストが作る(といっても、作り方はもちろん決まっている)技術なんかも求められる。

わたしはドクターになるわけではないけれど、それでも実際にお客様の身体を診て、そして触りますよね。

だから、アーユルヴェーダの理論はもちろんだけれど、どんなトリートメントを、どういうふうに行えば、より効果を出せるのか、ということを徹底的に身につけたいと思うようになりました。

アーユルヴェーダではドーシャ理論といって、身体の体質を見たり、バランスを加減するのに必須の理論がありますが、具体的にどうやってドーシャを動かしていくのか、ということも含めて、サトヴィックのセラピストコースでは身をもって学ぶことができました。」

《今では、多くのセラピストや、アーユルヴェーダの仲間に恵まれているんだとか。一番手前が愛子さん。》

今の愛子さんになられるまでに、すごく探求されたんですね。

「探究してきた、という言葉が適切なのかはわからないですが、アーユルヴェーダに出会ってからは、本当のことを教えてもらって、その本当のことを実践する、ことが、すごく面白かったので、どんなことも、習ったらまずやってみる!の繰り返しだったような気がします。

幸いお客様にもすごく恵まれていて、わたしが新しい理論や技術を身につけてくると、それを面白がって下さったり、感想を教えて下さったりしました。

もちろん開業した当時はびっくりするくらいお客さんが来なくて、閑散としていた時期もありましたが、小さな積み重ねを繰り返して、お客さんとそれを分かち合っているうちに、いつしかわたし自身も成長させてもらったような気がしています」

愛子さんのお店にも、お客さんが来なかった時期があるなんて想像がつきません。それでも、今、こうして多くのお客様や後輩たちから支持される理由はどこにあると思いますか?

「なんでしょう(笑)

今でもわたしは決して自分のマッサージがうまいだなんてことは思ってないんです。ただ、心地の良い空間にしよう、とか、丁寧にトリートメントしよう、とか、気持ちのいい接客をしよう、とか。

そういうシンプルなことだけは心がけるようにしてきました。あとは、師匠にも恵まれたお陰で、”本当のアーユルヴェーダ”を、続けてくることができた。

そして、もうひとつ大きいことは、わたしが学ぶことができた、その”本当のアーユルヴェーダ”ができる環境を、お客様が作って下さった、ということも大きいのかなって思っています。」

《愛子さんのアーユルヴェーダへの探求は、常に留まることがありません。写真は、サトヴィックアーユルヴェーダスクールにて開催された、年インド・プネーでのセラピスト研修。(2020年)本場のトリートメントを、ドクターから直々にしっかりと学んで来られました。写真はシローダーラーの研修の様子。》

お客様と共に、今日までの愛子さんがあるんですね。お客様への共通する想いなどはありますか?

「どんなお客様も、日々現実と向き合って、一生懸命だと思うんです。

そんな方達が、貴重な時間を使って、サロンに来てくれている。

しかも、アーユルヴェーダってサロンでの滞在時間が長いじゃないですか。

だから、ここにきて、何かこう日々に向き合うための力を蓄えてもらう。そんなふうに利用していただきたいなって、思っています。」

最近は、お客様との時間だけでなく、後進の育成も始められましたよね。

「1年ほど前から、師匠に背中を押してもらって、セラピストコースを始めました。

わたしはとにかく、施術させてもらう時間が本当に好きなんですね。なんというか、無心で没頭できて。それで、お客さんが良くなって、笑顔で帰っていってくれたら、もういうことないじゃないですか。

だから、そのことだけを黙々とやり続けてきた15年だったんです。

けど、師匠からもう教えていいんだよと、言ってもらって。一歩進んでみようかなという気持ちになりました。

それで初めてみたら、とにかく生徒さんが可愛くて仕方がない(笑)

わたしより年上の生徒さんも結構いらっしゃるんですけど、大人が何かに没頭する姿ってこんなに可愛んだな〜なんて感じています。それに、わたし自身もまた、生徒さんから教えてもらっていることがたくさんありますよ。」

《現在、京都アーユルヴェーダmanjuでは定期的に、”アーユルヴェーダセラピスト養成講座”を開催中。直近では10月より第5期が開催予定。(募集は8/1より)》

一気に愛子さんの頬が緩んで、生徒さんが可愛くて仕方ないのが、すごく伝わってきます。生徒さんたちには、こんなセラピストになってほしいみたいな想いはあるんですか?

「わたしのやり方はもちろん、全身全霊でお伝えしています。でも、それ以上に、それぞれの個性で、自分らしさを出してほしい。

わたしは、アーユルヴェーダサロンがもっとできてほしいなって思っています。

セラピストとお客様だって、お互いに相性があるはずで。

だから、それぞれが自分らしさをもったセラピストになってくれて、アーユルヴェーダに触れられる人も増えていくことが、わたしの願いなんだと思います」

愛子さんに続く、また素晴らしいセラピストが生まれそうですね。最後に、愛子さんの生徒さんも含め、これからアーユルヴェーダセラピストを目指したいと思っている方に向けて、アドバイスをいただけますか?

「わたしのアドバイス、というわけではないんですが、アーユルヴェーダの古典書に書かれている言葉が、もしかするとみなさんの役に立つかもしれないなと思います。

チャラカ・サンヒター(アーユルヴェーダの三大古典書の一つ)に、セラピストに必要な要件というのが書かれています。そこには、知識・技術(器用さ)・誠実・潔癖という4つの言葉が書かれていて、セラピストにとって必要なこと、というのは、どんなことであれ常にここに帰結するなと、感じています。

そして、大切なのは、ただ技術があって、施術できればいいというわけではないということ。

だから、技術はもちろんですが、アーユルヴェーダを勉強すること、技術だけじゃなく工夫を重ねること、心を磨いて誠実且つ潔癖でいること。というのを、わたし自身も常に心に留めながらアーユルヴェーダの道を全うしていきたいな、と考えています。」

アーユルヴェーダを志す人にとっては、珠玉のメッセージをいただいてしまいましたね!愛子さんのセラピスト道、聞かせていただいてありがとうございました!

いかがでしたか?
アーユルヴェーダ。初めは自分のために学んでいても、いつしかアーユルヴェーダという叡智に携わる仕事ができるといいな、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
セラピスト、というのは、その仕事の選択肢の一つですが、セラピストでなかったとしても、今回愛子さんが教えてくださったことの中から是非、アーユルヴェーダとともに生きるためのヒントを見つけてくださいね!

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