【インタビュー連載.001】アーユルヴェーダをスキなヒト-FILE.1-2 中村チコさん(後編)

Ayurveda Everyday! では、”ヒトとヒトとの繋がり”、そして、アーユルヴェーダと”ヒト”との、その人らしい付き合い方を大切にしたいと考えています。
インタビュー連載、《アーユルヴェーダをスキなヒト》では、身近なあのヒトのアーユルヴェーダのある暮らしに焦点を当て、暮らしや生き方のヒントを探ります。
あなたに必要な、アーユルヴェーダのエッセンスが見つかりますように・・
そんな想いを込めてお届けします。

第一回目の《アーユルヴェーダをスキなヒト》に登場してくださった、中村チコさん。

本日は第2回目ということで、前回のインタビューの中で出てきた、「消化力」のお話から伺っていきたいと思います。

「消化力」について、少し詳しく教えていただけますか?

「消化力」は、アーユルヴェーダではとても大切なキーワードで、私たちの健康を測るバロメーターの役割を持っていると言っても過言ではありません。

サンスクリット語(古代のインドの言葉)では、この消化力のことを“アグニ(=火という意味がある)”、といって、役割としては私たちがいただいた食べ物を消化・代謝して、身体をつくるという事をしてくれているので、健やかな身体を保つためにはこのアグニの働きを良くしておくことがとても大切なんですね。

アグニの働きはよく、暖炉の火に例えられたりします。

火を正しく燃やすにはそこに入れる燃料と、風の具合なんかがとても大切ですよね。

それと同じように、人間の消化力もアグニ(=消化の火)の働きを良い状態にコントロールするには、燃料である食事そのものや、タイミング、形状に至るまでがとても大切になります。

アグニの働きを良い状態にするには、どんなものを食べれば良いのでしょうか?

アーユルヴェーダでは体質や症状によって、食べるべきものも変わってくるので、基本のルールはあれど、万人に良い食べ物という考え方が基本的にありません。

暖炉でも、炎が小さくなったら吹き込む風を強くしたり、焚き付けの細い枝を追加するように、どういう風に自分の体の中の消化の火を保てばいいのかは、個人のその時々の状況によって違うんですね。

運動の強度を上げることや、適切なスパイスを取ること、時々スープやお粥だけにすることなど、様々なやり方はありますが、とにかく大切なことは、個々に最適な方法を見つけることです。

ですがもちろん、どなたもが実践すべきルールもあります。

まずは食事をいただく前に、自分が空腹を感じているか確認し、惰性で食べないということ。

これは簡単そうで、忙しいライフスタイルを送っている方には意外に難しいことなのですが、

空腹感があるかというのは重要なポイントで、胃の中に前の食事がある状態で次の食事を摂ることは、アグニの働きを弱め、未消化物(アーユルヴェーダではアーマと呼ばれ、万病の元になる)を体内に産生する要因になります。

ですから、決まった時間で食べる習慣のある方なんかは、まず空腹を感じているか確認する癖をつけるといいですね。

空腹の確認なんかは、どなたでもすぐに実践できそうですね!チコさんは、日々消化力を考慮したお食事をなさっているんですか?

スパイス料理を習いだした始めの頃は、それほど気にしていなかったのですが、

2018年に、アーユルヴェーダの浄化の治療であるパンチャカルマを受けるためにインドに行ったことがきっかけで、自分自身の食生活を大幅に見直すことになりました。

私は大きな不調があるわけではないですが、治療に行って、実際自分自身の身体に起こる変化を観察することや、現地のドクター、セラピストや日々の世話をしてくれる人、それこそ病院の施設の人丸ごと全部が、アーユルヴェーダという叡智を元に、患者さんに真剣に接している姿を間近で見たことがとても衝撃で、そこですごくアーユルヴェーダへの尊敬の気持ちが深まったように思いますね。

チコさんが定期的に訪れるという、インド・マハラシュトラ州の病院では、広大な敷地内にアーユルヴェーダの入院病棟(パンチャカルマ施設)はもとより、現代医学の病院、そして牛小屋や畑なども併設され、そこで生産された牛乳やハーブ類が日々の食事や治療に使われるんだとか

また、そこでインド人の料理の師であるDr.プラバと再会したことも、自分自身の食事を見直す大きな転機になりました。

Dr. プラバは、チコさんのお料理の先生なんですか?

Dr. プラバ は、もともと産婦人科医でらっしゃるんですが、アーユルヴェーディックなお料理がとても上手な方なんですね。

2012年にも一度日本で彼女のワークショップを受講したんですが、インドでパンチャカルマを受けている最中に、Dr. プラバがお料理教室をしてくださって、そこで一緒に作ったムングダールのラドゥ(インドのお菓子)の美味しさは今でも覚えているほどです。

またDr.プラバは神様に捧げるためのお料理を、10年以上も毎日休みなくずっと作っていらして、そのお話や師に対する愛情や、私たちに投げかけてくださる人生へのアドバイスなどが素晴らしいんです。

どんな話も全てが一貫していて、ブレない信念があって、話を聞けば聞くほど尊敬の念が高まり、こんなにいつまででも話を聞いていたいと思ったのはいつぶりだろう?と思ったほどでした。

インドでの、Dr.プラバとのお料理教室の様子

素晴らしい師と出会われたんですね。チコさんの今のお食事のベースは、Dr.プラバから学んだ事なんですね。

はい、それももちろんありますが、他にもたくさんの素晴らしい師との出会いがありました。

もちろんお料理だと、香取薫先生もそうですし、アーユルヴェーダだとサトヴィック アーユルヴェーダスクールを主宰されている佐藤真紀子先生や、佐藤先生の師であり、インド国内でアーユルヴェーダ医としてとても尊敬されているサダナンダ・サラデシュムク先生。

実は、Dr.プラバの師は、サダナンダ先生のお父様なのですが、インドでは師弟の関係というのはとても強く、私はインド人ではないですが、こうして縁あってインドという国やヨーガ、アーユルヴェーダとの繋がりを持つことができたので、そこで学ばせてもらったことを真摯に受け止めて、日々の暮らしを積み重ねていきたいなといつも思っています。

亡き師に今も、いちにちも休むことなく祈りを捧げるDr.プラバ。信仰の深いインドでは、祈りがごく日常であり、暮らしの根底にあるそう

チコさんの暮らしや生き方は、そういったことがベースにあるんですね!素敵です!

きっと皆さんにもそれぞれ師がいると思います。もしかしたらそれはリアルで会う人かもしれないし、本で出会う人かもしれないですが、何か自分にとっての指針があるということは良いことですよね。

今ちょうど、佐藤真紀子先生のお手伝いで、Dr.プラバの生き方や、レシピをまとめた本を作ろうと奮闘しているところです。出版の折には、皆さんにもぜひ手に取っていただけると嬉しいですね。

それは楽しみです!!では最後に、読者の皆さんにメッセージをお願いします。

肉体は神様から与えられた借家なのだから、そこに住む私たちはいつも綺麗にして健康に保つことが義務なのだと私のヨガの師は言います。

その具体的な方法がヨガでありアーユルヴェーダであると。住まいがきちんと整理され掃除が行き届くと気持ちも軽やかになりますよね。

それと同じで肉体という借家が綺麗になり、適切な炎が持続すれば、間違いなく住んでいる私たちの幸福感も激増です。

ぜひ、そのなんともいえない多幸感を一人でも多くの人に味わってもらいたいと願っています。

関連記事

  1. 【インタビュー連載.001】アーユルヴェーダをスキなヒト-FILE.1-1 中村チコさん