あなたは毎日すっきりと排便できていますか?
便秘の定義はさまざまありますが、排便の頻度だけでなく、スムーズに排便できるかどうかも大事なポイントであると言われています。
慢性便秘症ガイドライン(2017年)では便秘は「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」、日本内科学会では「3日以上排便がない状態、または毎日排便があっても残便感がある状態」と定義しています。
インドの伝統医学アーユルヴェーダでは、毎朝決まった時間に、スムーズな排便ができることを健康な状態としています。また、「理想の便」は便器や紙についたりせず、水に沈まない状態といいます。
もしスムーズな排便ができていないのであれば、まずはその原因を探ってみましょう。便秘はその原因によって対策が異なるからです。
例えば、「腸活」のためと言ってヨーグルト、きのこ、発酵食品を積極的に摂っている方も多いですが、それらの食品があなたの体質に合っているかどうかも考える必要があります。※1
そして食事法と等しく、生活習慣を整えて腸がスムーズに活動できる環境を作ってあげることも重要です。
この記事では前編で[便秘にはどんなタイプがあるのか、それぞれタイプ別にどう対策したら良いのか]をご紹介し、後編で[腸の活動をスムーズにするための生活習慣について]をご紹介します。あなたにとって必要な「腸活」とは何か、そのヒントになればと思います。
※1 ヨーグルトは消化に重く、消化しきれないと経路を詰まらせるため、毎日常食したり夜に食べることはすすめられません。発酵食品は適量であれば良いのですが、取りすぎてしまうとピッタというエネルギーを増やします。いずれにしてもバランスを考え、消化器官に負担なく食べることが大事です。 |
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便秘の種類とは?
便秘はアーユルヴェーダ的な視点からシンプルに二つのタイプに分けて考えることができます。
- 1.乾燥性の便秘
- 2.消化不良による便秘
では1つ1つ原因と対策を見ていきましょう。
1.乾燥性の便秘について
便がウサギのウンチのようにコロコロしていたり、乾燥して硬いタイプがこれに該当します。この状態になりやすい人は、お腹にガスがたまりやすかったり、お肌が乾燥している傾向があります。ベジタリアンの方や、老人の方にも多いです。
このタイプの方は適度に良質の油を摂ることが必要です。中でもおすすめなのはギー。お料理に使ったり、夜ホットミルクにギーを入れて飲むレメディもすすめられます。もし動物性たんぱく質をとらない方であれば、オリーブオイルを摂ると良いでしょう。また、レーズン(干しぶどう)を10粒ほどとるのもおすすめです。取り方は、水にしばらくつけておいてふやかしたものを食べるか、100回ほど噛んで食べるようにしてください。
控えた方が良い食材
お食事では大豆食品を含む豆類、芋、キャベツ、乾いたもの、生野菜はなるべく少なめにした方が良いです。このタイプの方は、食物繊維の多いものは逆効果になります。とは言っても一切食べてはいけないと言うわけではありません。大豆や芋などの食品をとるときは、水分を含ませたり油などを用いてしっとりさせてとるようにしましょう。身体にオイルを塗ること(アビヤンガ)もおすすめです。身体に塗ったオイルは体内に吸収され潤いを与え、アパーナヴァーユと呼ばれる、排泄のための下向きの力を整えます。
2.消化不良による便秘について
食べた食物をきちんと消化しきれなかったために起こる便秘です。粘着質で、便器やトイレットペーパーにべっとりつくのが特徴です。このタイプの場合、まずは消化力に見合った食事を摂るように食事の量や食べ方を工夫する必要があります。食事量は腹七分にとどめ、スープを添えたり、煮物などの汁気が多いものにし、お白湯と一緒に召し上がるようにしてください。また、お料理には生姜を取り入れたり、クミンなどを使うと消化を促進することができます。また、このタイプの方は適度に運動することもとても大事です。じんわりと汗をかき、息が切れる程度の適度な運動をするようにしましょう。
控えた方が良い食材
生のもの・冷たいもの・脂っこいお肉・乾いたもの、ヨーグルトなど消化に重たいもの
※このタイプの便秘の方はヨーグルトは逆効果です。時々なら良いですが、毎日食べたり、夜に食べるのはやめましょう。
※もしも過食の症状を伴う場合は、まずはその原因を探る必要もあります。アルコール、ニンニク、辛いもの、酸っぱいものを取りすぎていないか、ストレスが原因となっている場合は可能な範囲でストレス要因を避け、運動や瞑想などを試してみるのもおすすめです。
どちらのタイプにも共通する、便秘のためにやるべきこと
どちらのタイプであれ、健康的な排便、ひいては健康な腸を維持するには、生活習慣を整えることもとても大事です。特に「トイレを我慢しないこと」「規則正しい生活をすること」、これらは誰にとってもリスクのない「腸活」であることを忘れないでください。
それは口にするとつまらない正論のようですが、きちんと理由があります。
次回の記事では後編として、「腸の活動をスムーズにするための生活習慣について」をテーマにそれらの理由をご紹介していきます。
この記事を書いた人
東急東横線元住吉駅アーユルヴェーダサロン環のセラピストオーナー。instagramではマンガでアーユルヴェーダを発信しています。