忙しい現代社会に生きる私たちは、心や脳が緊張状態でいることも多く、「ストレスがあることが当たり前」とすらされています。
ストレスを受け続けると、イライラしやすくなったり心が不安定になるだけでなく、身体の生理機能にも影響を及ぼし様々な不調をもたらします。
そんなストレスマネージメントに今注目されているのが「瞑想」です。GoogleやFacebookがパフォーマンス向上に「マインドフルネス瞑想」を社員研修で取り入れたこともあって、これまで馴染みがなかった人にも広がりを見せています。
瞑想をスピリチュアルや宗教的な側面のみで語るのは昔の話。今や脳科学的にもその効果は証明されていて、治療としても取り入れられているのです。
でも実際、「瞑想」をどう始めたらいいか分からないという方や、やってみたけど苦手だった、という方も多いですよね。そこでこの記事では、「瞑想」の偉大な効果を振り返るとともに、誰もが簡単に始められ、継続できる方法をご紹介したいと思います。
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心に効く!瞑想がストレスケアに優れている理由
瞑想で得られる効果に、以下が挙げられます。
- ストレスの軽減
- 集中力の向上
- 記憶力の向上
- 感情のコントロールができるようになる
- 睡眠の質の改善・・・など
なぜこれらの効果があるのか、詳しく見ていきましょう。
脳科学的にみた瞑想の効果
瞑想を行うことによって、心の耐性、感情の制御に関わる「前頭前野」、記憶力に関わる「海馬」が活発になることがわかっています。一方で、好悪の判断、ストレス反応に関わる部位である「扁桃体」は活動が落ち着くとされています。この扁桃体は、イライラを引き起こしたり、拒絶反応を起こす場所なのですが、活発になりすぎると不安障害やパニック障害などを引き起こすとされています。(前頭前野はその扁桃体を制御する役割もあります。)瞑想を行うことは、脳をストレスから守り、心の健康を守ためのトレーニングと言えるのです。
アーユルヴェーダからみた瞑想の効果
※本サイトはアーユルヴェーダがテーマなので、インドの伝統医学である「アーユルヴェーダ」からみた瞑想の効果についてもご紹介したいと思います。
アーユルヴェーダでは、健康を保つために、毎日瞑想を行うことを勧めています。
瞑想を行うと心の純粋性(サットヴァ)が増えると考えられています。サットヴァが増えると、心が穏やかになり、気分が安定するだけでなく、自分の身体に必要なもの、害のあるものが分かるようになると言います。つまり、身体に悪いと感じながらもつい夜更かししてしまったり、タバコを吸ってしまうなどの習慣から離れやすくなっていくのです。瞑想は心だけでなく、身体的な健康を保つためにも有益と言えます。
あなたにあう瞑想方法を見つけよう
「瞑想」のメリットを確認していただいたところで、あなたにあう瞑想方法を探っていきましょう。
瞑想というと、座禅を組んで心を無にする状態を作るイメージがありますが、最初から心を無にするのはなかなか難しいもの。一番大事なポイントは、「何か1つのことに集中して心を空っぽにする」ことですから、まずは集中できるものを用意するのも手です。そしてその対象は、人によって相性がありますから、自分にとって試しやすいものを見つけていくのも瞑想を習慣化するための第一歩となります。
キャンドルの火を見つめる「トラタカ瞑想」
トラタカとは凝視するという意味で、古くから行われてきた瞑想方法です。キャンドルを使ったトラタカ瞑想は、キャンドルに火を灯して、ぼーっと火の揺らぎを見つめるだけ。まずは3分くらいから始めて、10分、15分など少しずつ長くしていくのが良いと思います。炎を見つめながら、何か考えが浮かんだり、他のことが気になったりしたら、その自分の状態を客観的に捉え、意識を炎に戻すのを繰り返してください。もともと焚き火など火を眺めると心が落ち着く感覚のある方におすすめですが、もしキャンドルの火が眩しいと感じる人は、他の瞑想方法を試すようにしてください。月を見つめるトラタカ瞑想もあり、こちらはイライラしやすい方、熱がこもりやすい方に特におすすめです。
横になってできる「ヨガニードラ」
ヨガニードラは眠りのヨガとも呼ばれ、仰向けに横になった状態でガイダンスの音声を聞きながら、瞑想的に体の内観を行うというものです。ガイダンスに従って自分の身体に意識を向けていくので、比較的集中しやすいですし、自分の身体の状態に気づきを得ることができるのも利点です。Youtubeなどにガイダンスの動画がありますのでぜひ一度試してみてください。
歩行瞑想(マインドフルネスウォーキング)
ゆっくりと歩いて、自分の足の裏の感覚に集中するという方法です。「足を上げる」「足を前に動かす」「地面におろす」「床に足がついたときの足裏の感覚」「体重移動」など全ての感覚に意識を向けながらウォーキングを続けます。他のことに意識が向いたり雑念が浮かぶことがありますが、自分の歩いてる感覚に意識を戻すよう繰り返していきます。
日々の単純作業に集中してみるのもあり
もっともシンプルな瞑想法として、無心で何かの作業に取り組むという方法もあります。拭き掃除を徹底的にやってみるとか、お皿洗いに集中するだけでも、十分なケアになります。五感をフルに使って、コーヒーを淹れてみたり、料理をするのも良いですよ。
それでも瞑想が難しいと感じたら
すでに強いストレスを感じ続ける状況にあったり、身体的な疲労が溜まっている場合、瞑想にトライしても、嫌なことを思い出してしまったり、イライラしたりして集中できないこともあります。心と身体は繋がっているので、心の疲れの蓄積により、身体が瞑想しにくい状態(じっとしていることができないなど)にある可能性もあります。(アーユルヴェーダでは、ヴァータが乱れている状態と捉えます。)そんな時は、まずは身体のケアを取り入れることをお勧めします。まずは以下の中から、できそうだなと思えるものを1つで良いので試してみてくださいね。
オイルケア
アーユルヴェーダでは、ヴァータと呼ばれる生体エネルギーが乱れると、脳神経の活動が過剰に活発になったり、心に落ち着きがなくなると考えられています。じっとしてられない感覚があったり、考え事がやまない方は、まずはオイルトリートメントを始めてみるのがおすすめです。特にシャンプーを5分〜10分以上前に、スイートアーモンドオイルや太白ごま油を頭に塗るのがおすすめです。
脳によいとされるアーモンド
ローストされていない生のアーモンドを一晩水に浸し、皮を剥いたものを毎朝3粒食べる。
ツボクサ茶を飲む
ツボクサ(ブラフミー)は脳の働きをよくすると言われるアーユルヴェーダの代表的なハーブです。イライラを鎮め、瞑想を助けるとも言われています。
シロダーラは瞑想を促す?サロンでアーユルヴェーダトリートメントを受けてみるのもおすすめ。
上述した通り、オイルケアはぜひ試していただきたいのですが、セルフケアにハードルを感じる方は一度サロンでトリートメントを受けてみるのもおすすめです。オイルによる効果はもちろんのこと、トリートメントを受けている時間そのものが、何もしない時間としてとても貴重なものと言えますし、時には瞑想効果を得ることもできるのです。
アーユルヴェーダトリートメントの中でも、シロダーラはよく瞑想状態になりやすいと紹介されることがあります。確かにシロダーラは、オイルによって脳神経系の疲労を癒やすだけでなく、頭につたうオイルの感覚に集中をすることによって瞑想状態に導くとされています。
ですが、瞑想状態を狙えるトリートメントは、シロダーラだけではありません。オイルを全身に塗るアビヤンガでも、マッサージの心地よさ、セラピストの手の運びに意識を集中することによって、瞑想効果を得られるのです。そしてこれはトリートメント効果を高める一つの方法とも言えます。もちろん、これはトリートメントが心地よいものであることが大前提ですので、自分に合うセラピストを見つけることが大事です。(アーユルヴェーダのトリートメントを受けられる施設を探したい方はこちらから)
最後に
本記事では、なるべく手軽に始められる瞑想方法を紹介させていただきました。瞑想方法は他にもまだまだ色々とあります。ストレスを感じていたり、心の不安定さに悩んでいる方は、ご自身に合った瞑想を見つけ、ぜひ日々の生活に取り入れてみてくださいね。
この記事を書いた人
東急東横線元住吉駅アーユルヴェーダサロン環のセラピストオーナー。instagramではマンガでアーユルヴェーダを発信しています。