人にはそれぞれの体質がある。アーユルヴェーダの体質-ドーシャとは

アーユルヴェーダは、人にはそれぞれ異なった体質があると伝えています。

その体質を見極め、紐解く鍵となるのがヴァータ(動き)・ピッタ(変換) ・カファ(結合) という3つの生命エネルギーの存在で、これらを「ドーシャ」と呼びます

この「ドーシャ」は、アーユルヴェーダを最も特徴付けている要素のひとつで、自分の体質を知るために、知っておくととても便利な考え方と言えます。

ではこの「ドーシャ」は一体どこに、どんなかたちで存在しているのでしょうか。

「ドーシャ」という言葉は、日本語にすると生命エネルギーという意味を持ち、わたしたちの身体のなかに、目には見えないかたちで宿っています。

また、誰もがこれら3つのエネルギーを持ちますが、それぞれが生まれ持ってくるドーシャの割合には必ず個人差があります

この個人差のことを、一般的に“体質”と呼び、3つのドーシャのうちどれが優勢かによって、体質を診断するのがアーユルヴェーダでは一般的で、ヴァータ体質、ピッタ体質、カファ 体質の3つだけではなく、ヴァータ・ピッタ、ピッタ・カファなど、2つのドーシャが優位なケースもあり、全部で10通りの体質があります。

またこのドーシャは、病気の見極めにも重要で、ドーシャのバランスが崩れる事で、病気や不調が引き起こされると考えられています。

(実は、「ドーシャ」という単語は「生命エネルギー」という意味だけではなく、「病素」という意味も含みます。)

また、ドーシャは”常に変化し、乱れる”という特徴を持つため、同一の人物でも季節、天候、土地、生活スタイル、年齢など様々な要因に影響を受けバランスが変わり、特に生まれつき優勢なドーシャは乱しやすいと考えられています。

そのため、生まれた時はピッタ体質だったけれど、大人になってヴァータが優勢になる生活を送っていたらヴァータが乱れていた、というケースも起こります。

つまり、生まれた時の体質(プラクリティ)は必ず変化し、現在の体質(ヴィクリティ)へと移行していくのです。

一般的に、現在の体質であるヴィクリティは現在の心身の状態から考察できることも多いですが、生まれた時の体質のプラクリティは、経験と鍛錬を積んだベテランのアーユルヴェーダ医師でさえ、継続してクライアントと接することで、初診の内容から診断を変えることがあるといいます。

ご自身の体質や、ドーシャのバランスが気になる方は、アーユルヴェーダ医師の脈診を受けることもおすすめですが、医師は必ず、あなたの体調を詳細に、深くヒアリングしてきます。その時に、より正確に情報伝達を行うためには、やはり自分自身で自分の身体を観察しておくことが必要不可欠と言えるでしょう。

以下に各ドーシャの特徴や、優勢となっているドーシャを判断する目安となる不調の一例を記載しますので、自分に多くあてはまるドーシャは何か、振り返ってみてください。

全て当てはまらなくても、該当するものが多ければそのドーシャが多いと考えられます。また、もし今何か不調をお持ちなら、ドーシャごとのケア方法を試してみることもオススメです。

ヴァータとは

動きのエネルギーであるヴァータ

ヴァータは「風」と「空」の元素からなります。風=動きのエネルギー、空=スペースと捉えることができます。

呼吸やまばたき、栄養や酸素をめぐらせたり、脳神経系が情報を伝達したり。動きを伴う身体の働きはすべてヴァータによって行われます

ヴァータ体質の特徴

関節や血管が目立つ

体重が軽い

体力があまりない、疲れやすい

好奇心旺盛

活動的、行動力がある

考え事が多い

気分にムラがある

クリエイティブなことを好みルーティンを苦手とする

ヴァータ過剰による症状

お腹にガスがたまる

痛み(頭痛や腰痛など)

めまい

自律神経失調症

不眠

生理不順

大きい音を我慢できない

ヴァータを緩和するケア

温かく、良質な油分を使った料理

オイルマッサージ

乾いたもの、冷たいものを避ける

規則正しい生活

ピッタとは

変換のエネルギーであるピッタ

ピッタは「火」と「水」の元素から成ります。火で燃やされたものが灰になるのと同じように、変換するエネルギーです。ピッタは食べ物を消化したり栄養素を分解したり、外部から得た情報を自分の知識にする力です。

ピッタ体質の特徴

肌や髪につやがある

皮膚が薄い、赤みがある

理論的

頭がよい

面倒見がよい

上昇志向が強い

イライラしやすい

ピッタ過剰の症状

胃痛

胃酸過多

潰瘍

皮膚炎

皮膚アレルギー

疲れ目

ピッタを緩和するケア

ギー(精製バター)を食事に取り入れる

葉物野菜を摂る

ココナッツオイルでのマッサージ

コリアンダーのスパイスを使う

コリアンダー(スパイスの一種)を使う

ゲームを含む争いごとを避ける

直射日光にあたらないようにする

カファ (カパ)とは

結合のエネルギーであるカファ

カファ(カパ)は「土」(密度・安定)「水」(結合)の元素から成ります。

カファは物質そのものの密度や細胞の結合を指します。カファ のエネルギーによって、肉体、細胞は形作られます。カファが安定していると、細胞は潤いに満ちて、ハリが出て、丈夫で抵抗力のある身体となります。

カファ体質の特徴

体力がある

がっしりとしてしっかりした骨や筋肉

髪や爪などが丈夫

何事もペースがゆったりしている

忍耐強い、無口

カファが過剰の症状

身体が重く感じる

むくみ

かゆみ

鼻づまりやたんなど、粘液が増える

気管支炎

肺炎

カファを緩和するケア

運動する

ショウガ、黒コショウ、長胡椒を積極的に摂る

苦味のある野菜をとる

加熱されていない生のはちみつを、熱を加えずに摂る

絹の手袋などで乾布摩擦を行う